平成14年度全国医師会勤務医部会連絡協議会

メインテーマ『ついに来た医療改革』

勤 務 医 部  

 平成14年10月26日,『ついに来た医療改革』をメインテーマに,山口市において平成14年度全国医師会勤務医部会連絡協議会が開催されました。

次   第

ご 挨 拶
  日本医師会会   坪 井 栄 孝
  山口県医師会会長 藤 井 康 宏

特 別 講 演
  「医療の考え方を根底から変える」
      日本医師会会長 坪 井 栄 孝

報   告
  日本医師会勤務医委員会報告
  山口県勤務医アンケート調査報告

次期担当県挨拶

ランチョンセミナー
  第1分科会
    感染症対策について
  −院内感染に対する医師会活動について−
  第2分科会
    日本医師会が提唱する卒後臨床研修
  「地域施設群研修方式(仮称)」モデル事業について

シンポジウム
  「医療改革後の勤務医の対応」

講   演
  「勤務医が意欲をもって働くためには」

 まず最初に,『医療の考え方を根底から変える』と題して,坪井栄孝 日本医師会(日医)会長の特別講演がありました。社会保障に関わる政策決定が,財務官僚主導の財政偏重の視野で策定され,わが国が世界に誇れる皆保険制度も市場原理主義者に踏みにじられてしまうかもしれない状況に強い危機感を表明されました。そこで,行政と政治に医療の本質を正確に理解させるためにも,医師自身医療の考え方を根底から変えて,国民的な合意形成を果たすべく行動することが重要であるとの講演でした。
 ついで,池田俊彦 日医勤務医委員会委員長より日医勤務医委員会報告がありました。この中で,勤務医委員会の存在意義は,勤務医のためだけではなく,医師会活動をより活発化することにあると強調されました。その具体的な活動については,@平成16年より実施される卒後臨床研修について,プライマリケア部門については,医師会主導で行ってはどうか,A勤務医の労働条件改善のためには,病院機能評価の中に,勤務医の労働条件の項目をもっと強く反映すべきではないか,Bいまや過半数に達する女性医師が安心して仕事に取り組める環境整備が急務である,などの提案がありました。
 午前中最後のセッションで,本年度担当の山口県医師会から,山口県勤務医アンケート調査報告がありました。昨年広島市医師会が行った勤務医アンケート調査とほぼ同様の検討がなされていましたが,労働過重や将来への不安,収入が少ない,研究・学習時間の不足などの理由で,現在の職場に不満を抱いている勤務医も25.8%見られたとの報告がありました。
 ランチョンセミナー第2分科会では,栃木県医師会で実践されている日医が提唱する卒後臨床研修「地域施設群研修方式」による卒後臨床研修モデル事業について報告がありました。宇都宮社会保険病院を中心に,近隣の老健施設・緩和ケア病棟・診療所等が連携して研修を実施する医師会ならではの完成度の高い研修システムであることを実感いたしました。しかし,いまだ国の方針も明確に示されていない研修医の処遇(本事業では,栃木県医師会病院職員として採用。各種保険・宿舎完備)および研修医受け入れ医療機関への財政的援助などが大きな課題として残されていると考えられました。
 午後からは,シンポジウム『医療改革後の勤務医の対応』が開催されました。独立行政法人化へ向かう国立大学医学部附属病院の立場から,沖田 極 山口大学医学部附属病院院長より,独法化で企業会計となると,病院長のリーダーシップによるトップダウン的運営管理が必要で,周囲の病院と競合することも有り得ることを率直に述べられました。自治体大病院の立場からは,江里健輔 山口県立中央病院院長より,公的病院が今後生き残るには,へき地医療をはじめとした不採算部門に積極的に取り組むことも必要であるが,不採算部門への積極的参入は経営を悪化させるといったジレンマがあることが示されました。また,人材派遣については,卒後臨床研修がスタートするにあたり,これまでのように100%大学に依存するのは難しい状況になることが予想されるため,自治体病院・労災病院・医療法人協会などの団体がそれぞれの人事斡旋機構を組織化し,全国に展開する関連病院のスタッフとして採用するネットワーク構築を提唱され,それぞれのネットワークを日医が束ねる形が望ましいと述べられました。企業病院の立場からは,篠崎文彦 宇部興産中央病院院長より,近年の医療を取り巻く環境は厳しいが,企業病院ではありながら医療という公共性の高い仕事に参画する以上,一般市民から期待される病院にするために,より一層努力が必要であるとの発言がありました。また,河野通裕 萩市民病院院長からは,院内におけるチーム医療の推進および遠隔医療支援のためには,病院の IT 化は非常に有用であるとのご意見があり,村田英雄 医誠会都志見病院副院長からは,これからの地域医療には,勤務医同志のより緊密な連携が必要で,地域リハビリテーションという新しい考え方の提案がありました。
 最後に,西島英利 日医常任理事は,官邸からのトップダウンによる米国型医療の導入を阻止するために,全国的な国民運動に展開することも考えていると述べられました。また,医師会内からも容認論が出ている混合診療については,公的保険の守備範囲見直しが強い狙いであり,公的保険から外れた必要な医療を請け負うこととなる民間保険は,ハイリスク者の加入を拒む可能性があるとして,強い危機感を示されました。

 ついに医療改革はやって来ました。数の上では日医で47%,わが広島市医師会で60%を占めるに至った勤務医の身にも,この波がひたひたと押し寄せている事実を痛感いたしました。確かに,我々勤務医の労動条件の改善も大切な問題ではありますが,たとえば勤務医の労動条件の改善を迫る第一の対象となる病院長も,実は国の政策に翻弄される同志(勤務医)なのです。問題は,その上。つまり,コスト至上主義から,保険者機能強化に起因したリスク補正による弱者切り捨て(米国では4200万人が無保険),さらにはコストシフトによる患者家族への負担増のみを残して,米国ではすでに破綻が明らかな米国式マネイ
ジドケアの二の舞を踏もうとするかのような,財務官僚主導の医療政策にあると考えられます。しかし,我々勤務医にも責任の一端があることを忘れてはいけません。例えば,年間手術件数が一定数を満たさなければ,診療報酬を減額するといった,まったく我々が実際に勤務する病院の現況を無視した政策が容認されたのは,我々勤務医の意見を日医の政策に反映することが出来なかった勤務医側の怠慢であると断じざるを得ません。
 最後に,この協議会に参加して,診療所の医師・病院の勤務医を問わず,それぞれの立場で問題意識を持ちながら日本の医療政策に関する情報を正確に把握し,さらにそれに対する自らの意見を強く医師会および行政・政治に対し発信すべき時期にあることを改めて確信いたしました。 (藤本三喜夫)


新春囲碁大会ご案内

と  き 平成15年1月13日(成人の日) 午前10時
と こ ろ 広島医師会館 3階 和室
参加費用 3,000円(昼食付き)

  参加ご希望の方は,12月25日(水)までに
広島市医師会事務局(х 082-232-7321・FAX(082)292-5233)までご連絡ください。


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