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【基町悠吉のつぶやき⑩ 原コラム№2】

「夢の続きをみるように」
若い頃は自分の50代の姿など想像できなかったが、実際50代になると年をとるということの意味を考えるようになる。
果たしてこの先どんな老いが待っているのか。70代80代と想像しただけでもうくじけそうである。
90代でこんなおばあちゃんもいる。

大正生まれの95歳。
ご自宅に訪問すると独りで背をまるめて正座しトランプ占いをしている。
95歳でトランプ。余裕である。いいなぁ。
娘と対等にやり合う。負けてない。娘の前で娘の悪口を言う。娘は笑って見ている。
ハワイ生まれで、英語も話す。

長寿の秘訣は、葱ととろろ昆布と食パン。と言う。
答えを用意しているかのように即答で答える。

毎日目覚めてから寝るまで、横にならず、起きて過ごす。
起きている間、週3日はデイリハに通い、職員から「明日来て」と誘われれば
断れずに週5日いくこともある。
がんばってるなぁ。しんどくても行ってあげるんだなぁ。
自分のできることは自分でする。
パッチワークのお手玉、新聞の紙袋、毎日何かしらデイの役に立つものをと
ちくちく手を動かし続けている。

私にこう話す。
あのね、大人しゅうに手をかけんと逝けたら、最高。
側に誰もおらんでええ。
父がね、逝ったときは どこも悪うないのに ぽっくりと。「夢の続きをみるんじゃ」ゆうて。
まだ、生きとれると 何か皆が喜ぶことしてあげよう思うて、
まわりが皆がやさしい、けんね。
まだ、がんばらんといけんと思うて。

今年は娘から1週間かけて折りかたを教わり、千羽鶴を一羽一羽折り続けている。